個人ポートフォリオ PORTFOLIO

在学生、修了生、教員による研究活動や制作物の情報を公開しています。

佐藤 信正 サトウ ノブマサ

所属:芸術専攻 芸術学・文化遺産領域

佐藤信正 芸術学・文化遺産領域 文化遺産分野 芸能史・伝統文化ゼミ
1957年、東京生まれ。国際基督教大学教学部学士。放送大学人文学コース修士。中世英語学・英文学学会会員。
京都芸術大学大学院では、書道の「散らし書き」の研究をしたいと思っています。

「筆書様式としての葦手 ―『宇津保物語』における位置づけをめぐって―」

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平安時代の書記システムをめぐる研究において、「男手」「女手」という用語の解釈は、古くから議論の的となってきた。従来、「男手=漢字」「女手=仮名」と理解する説が広く流布してきたが、近年、山田健三が『宇津保物語』における用例分析に基づき、この伝統的理解に異議を唱えた【注1】。本稿は、山田の議論を踏まえつつ、同じ文脈に登場する「葦手」の性質を再考し、これを筆書様式として位置づける試みである。

量的評価を超えて、作品固有の特異性(Idiosyncrasy)を探る

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量的評価を超えて、作品固有の特異性(Idiosyncrasy)を探る

散らし書きにおける異化効果としての

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 平安時代の仮名書道の頂点の一つとして、また日本美意識の精華として称賛される『寸松庵色紙』――藤原行成の筆と伝えられるこの『古今和歌集』断簡群は、その繊細かつ洗練された書風で多くの人々を魅了してきた。その視覚的特徴の中でも、文字を紙面に自由に、時に大胆に配置する「散らし書き」の様式は、際立った魅力の中核をなしている。しかし、この一見自由奔放にも見える書式は、単なる美的装飾や、書かれた和歌の内容を従順に反映するものなのだろうか。

散らし書き芸術の評価とデリダの差延:『寸松庵色紙』を例に

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散らし書き芸術の評価とデリダの差延:『寸松庵色紙』を例に

茶掛けにおける和歌の意味 その2

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茶掛けにおける和歌の意味 その2

茶掛けにおける和歌の意味

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 伝統文化遺産研究の大学院で学んで1年が経った。この一年は、テーマとする「散らし書き」と必須単位取得に追われた。必須単位は、2単位ほど現時点(3月17日時点)で結果が出ていないので、これに落第すればM2の進級が閉ざされる。学費は収めているので、そうなれば、実質の休学のようになりかねない。また、M2ではすでに担当教官の変更がアナウンスされている。新規には、中村幸教授で、緊急のガイダンスでは茶道の研究ということらしい。そこで、指導教官にテーマをシフトしたほうがよいか質問したが、そのような考慮はしなくてよいとのことであった。とはいえ、茶道と散らし書きには、「茶掛け」を介した大きな問題があり、これまで言及しておかなかったので、簡単に自分の学習をかねてまとめてみた。

連綿と変体仮名についての考察〜枡矢桂一論文から見える日本語書記史の変遷〜

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連綿と変体仮名についての考察〜枡矢桂一論文から見える日本語書記史の変遷〜

絵画、演劇、書道の言語再現的特性

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絵画、演劇、書道の言語再現的特性

美のオントロジカル・アプローチ

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美のオントロジカル・アプローチ

和歌のオントロジー表現とモーダル変換

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和歌のオントロジー表現とモーダル変換

「散らし書き」を演出概念に拡張する試み

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――寸松庵色紙・継色紙・升色紙に見る視覚的演出性―― 

手鑑としての散らし書きの可能性

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手鑑としての散らし書きの可能性

根津美術館「古筆切」展鑑賞レポート

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根津美術館「古筆切」展鑑賞レポート

平安時代「散らし書き」の記号的特性をAIで探索する

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 平安時代の「散らし書き」は、言語記号の面からは、「散らし」=「改行」として捉えられる。平安時代であれ、日本の和歌は57577の音節(モーラ)の31音節で成り立つ。このため、改行表示するときも、この音節のチャンクに合わせて、次のように改行するのが自然であり、現代の日本人は自然にそうする。

展覧会「唐ごのみ」が平安仮名書道研究に示唆するもの

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唐の書画と古拓本が織りなす芸術世界

AIは芸術を評価できるか?

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 2025年の正月の休暇中、「AIは芸術を評価できるか?」ということを考え続けた。私の修論研究は、平安時代の散らし書きだが、それらを芸術として評価する際、単なる印象的な主観ではなく、音楽アナリーゼのようなコード化から言語化が必要である。この過程は、しかし、AIによって可能なのではないかと思っている。

中世西洋写本

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私が現在、京都芸術大学大学院で取り組んでいるのは、平安時代の仮名書道だが、西洋写本についても関心をもっている。理由は、どちらも手書きの写本であること、装飾性が高いこと、時代に近いことがある。加えて、私のもうひとつの研究分野である中世英語学研究にも関連する。こうしたことから、8月14日、国立西洋美術館で開催している『内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙』を見学した。

研究進捗:源氏物語における書論

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散らし書きを扱うに際して、同時代的な視点における書の意識について、源氏物語に表現されている書論をまとめてみた。

研究進捗:葦手論

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葦手論

研究進捗:見立て論

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見立て論

研究進捗:和歌における見立て

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和歌における「見立て」:コミュニケーション・ゲームとしての役割

「中世の斎宮とその時代背景―転換期を生きた斎王たち―」

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 2024年11月3日に、斎宮歴史博物館で開催されている特別展示「中世の斎宮とその時代背景―転換期を生きた斎王たち―」を見に行った。斎宮を基軸とする斎王制度は、天皇が新しく即位するたびに未婚の皇女の中から斎王を選び伊勢斎宮へと派遣し、神事を委ねるものであり、天皇制と一体となった制度でもある。

研究進捗:数値解析

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 三色紙である、寸松庵色紙、継色紙、升色紙に使用されている文字についてその多様性と分布を数値解析してみた。

仮名書道をAIはどう評価するか

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仮名書道をAIはどう評価するか

永平寺と見立て

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12月9日、永平寺を参観した。日本文化という大枠の括りはあるものの、直接的には、修論研究とは関係なので、ポートフォリオの話題には合わないかと思っていたが、そこで伽藍が坐の姿を模しているという説明に関心をもった。理由は、散らし書きの造詣式には見立ての原理が潜んでいるようで、この見立てという現象になにか関連しはしないかと考えた。

研究進捗:色紙をデータ化した

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9月は、「散らし書き」研究の対象となる三色紙のテキスト(変体仮名を含めた)のデジタルデータを作成し、構造を文字頻度および文字環境についてデータ解析を行った。

三色紙の実物を見学した

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三色紙の実物

中間報告書Ⅰを提出しました。

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◆研究テーマ: 三色紙の散らし書きを対象とするアナリーゼ手法の試論

近世以降の仮名書道

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近世以降の仮名書道について