4.変な話1
- 小説ゼミ1
僕の机に置いてかれた両手の指が、
糸鋸で切られたように
綺麗にはずれた。
それの切れ目は血がでるというグロテスクなことはなくて、
ただつるりとした
千歳飴に似ている。
綺麗に切れた白い蝋にもみえた。
それは僕の前から距離をとるようにして部屋をでていった。
それからちょっと間をおいて指は僕のもとへ戻って来たんだけど、
なぜかその指先にはクッキーのカスが
粉砂糖が、かかったみたいに
うっすらと少しだけついていた。
指先をみつめていたら、そこには
蜥蜴にあるような小さな口があった。
口からは白い小さな歯がみえていた。
クッキーを食べたみたいだ。
僕のお腹はすいていて、指は、お腹いっぱいだなんてね。
・この作品のイメージ
もし、自分とは別の意思をもったものが、
自分の体の一部だったら少し怖いかもしれない。