8.ビデオテープ
- 小説ゼミ1
うまく言えないけど、
僕は子供の頃、ビデオテープを逆に回すのがちょっぴり怖かった。
映っている人とか物がやたらと早く動くし、
音もテープを回す音以外しないから無理矢理、時間を
自分から遠ざけてるみたいだった。
今ある時間を自分の所にもっていけなくなるような感じがした。
このまま回しているうちに、寿命が縮まって死んじゃうんじゃないかって、
おもったんだよ。
この頃はなんでもおもいこめるよね。
それを、おしゃぶりみたいに遊んで頼ろうとする。
それで怖くなれるなんて、安上がりだっていわれたこともあるけど
あの時はそれが、お化け並みに怖くてしょうがなかった。
それでテープを回し終えたら今度は巻き戻さなきゃならないんだけど、
それが済むとこれでもう自分の時間は取り戻せた。って、
安心して一息つくって事を何回も繰り返していたんだ。
今、おもえばちょっとバカっぽかった。
・この作品のイメージ
大抵、怖いものを見すぎてこうなる。
これは違うけど、
子供は時には繊細で大変だけど、それが楽しい事もある。