日記8 11月24日 月
- 小説ゼミ1
11月24日 月
父がワインを買って帰って来た。
無濾過だといっていた。
子供の頃、預けられ先の祖父母の家で、おやつにしていた青森の林檎ジュースみたいだった。
夕食前、グラスに注いでみるとそれは濃霧のようだった。
黄桃の様な淡い黄色であった。
香川にいた頃、時々、明け方になると家のあたりに霧があらわれる事があった。
その光景は密度がある真綿の様でもあるし、綿飴にもおもえて近づいてみるとすぐに消えてしまった。
透明人間や幽霊を相手にしているみたいな変な気分になった。
夜にあらわれると信号機や車のライトに照らされて蛍光色の青や赤に染まる様子がどことなく悪霊とか悪いものにみえて
不気味というか怖かったものだ。
ゴーストバスターズみたいな。
そういえばあのワインの淡い色は夏に海で見た夕焼けの空にも似ているかもしれない。
あれは海辺が薄い紫色の雲に覆われていたんだった。
雛あられの味がしそうな色だ。
あそこに少し青色が混じると、もうすぐで夜になるんだとわかった。
海と空と地面の境目がなくなると天国の上に突っ立っているかのようだった。
あの世はこんなんじゃないんだろうけど、当たらずとも遠からずだろうか?
わからないな。