日記11
- 小説ゼミ1
・5月6日 水
今日は1時半に三鷹にあるカフェで、おやつをすることになった。
「ラ・クレープリーサン‐ドニ・カフェ」というお店だ。
ここにむかう途中、井の頭公園を通っていった。
踏ん張って用を足している他所の飼い犬がいて、うっかり目にしてしまい、
おっと?失礼!とおもわず視線を逸らしながら通り過ぎる。
自分まで、もよおしそうになった。…なんでよ?
テニスコートでは無我夢中で暑苦しくラケットを振りながら練習に励むひとの姿があった。鬼気迫る形相!もしかして選手かも?と、おもっているうちに静かな住宅街に出た。
ノソノソと歩いて商店街まで来ると「餃子のハルピン」という店がみえてくる。
そのすぐ隣、左側にカフェがあった。
少し待ってるとまるで私達が磁石にでもなったように次々、他の人も私達の後ろに並んでいった。6人は並んでた。
さりげなくメニュー表があったけどクレープだけにしようか?
他も頼んでみたいし…と少し迷ってしまった。
ダメだ、コレは。ちょっとみっともなくて恥ずかしい気がした。
数分も経たないうちに店員が注文をとりに来て店内に案内された。
右の壁側にメニュー表がかかっているのがみえる。
SNSで、どういったものか知ってはいたけど「アップルパイ」は座布団みたいで
バニラアイス付き、という健啖家向けといった感じのもの。
「ミルフィーユ」は2種類あって、イチゴの「ナポレオン」とカスタードをパイだけで挟んだ「クラシック」とかいうやつ。
あとは「ティラミス・トラディショネル」という旅行会社か飛行機会社みたいな名前のものとか、「チョコレートのムースとブリオッシュ・ア・テット」という生クリーム付きのチョコムースの上にブリオッシュをのせた大胆な見た目のものもあった。
これはインスタグラムで目にしたけど話題になりそうなインパクトを感じられる一品。
お客の感想がXにあったけど意外と軽くて食べやすいそうな。
かわいくて豪快といった感じ。
フランスらしいとか、パリらしいというひとがいそうな気がする。
話題にしたら、それだけでお腹いっぱいになりそうだ。
子供の頃に夢見ていたというか「こんなのあったらいいのに!」と、よく妄想していた
お菓子そのものだった。
インスタグラムにあった店長の話しによるとフランスでシェフをしていた頃、お客さんが
ブリオッシュにチョコムースをつけて頬張っていた様子からおもいついたんだとか。
おもいついても本当にやる人がいるという事自体がびっくりだけど、
やっぱ、願ってみるもんだね!今度は食べてみたいものだ。
そう、ここまで話しておいてなんでやねん!とツッコミされるだろうけど、
やっぱり私は今回はクレープがお目当てなのだ。
さて、その肝心のクレープはというと、シュガー系、クリーム系、お食事系だとチーズとハムだけだった。
お食事系がこれだけなのは潔くてハッキリしてわかりやすい。
デザート系は挟むものを1種類か2種類と、そこにフルーツやアーモンドをトッピングできるみたいだけど、せっかくなのでここはいかにもおいしそうな紅茶とキャラメルのクリームをあわせたものにしてみた。
ついでに「ナポレオン」とアイスティーも追加した。
自分で言うのもなんだけど、よく食べるよね。
来るまで待っていると店内は4人でまわしているようで文字通りてんてこ舞いといった様子だった。
クレープは丁寧にお皿でサーブされるんだけど持ち方がクラッチバッグを持っているような感じになっていて潰れないかと、うっすらハラハラしてしまった。
急いでいたんだろうな。
「熱いうちにお召し上がり下さい!」という言葉と共に目の前に置かれたそれを齧ってみる…ミルクティー風味のアールグレイクリーム、キャラメルクリーム、ホイップされた生クリームが、ほんわり温かく甘くミルキーにあわさって
サクサクと柔らかく香ばしいクリスピーな小麦の生地と一体になって至福の極み。
「ナポレオンパイ」はカスタード、パイ生地、イチゴを何層にも重ねてあるのが、
ベリー好きにはたまらない。
ここのは特に鮮度がよかった。
実は「ナポレオンパイ」って、なかなか鮮度がビミョーなものもある。
いや、贅沢をいうわけじゃないけど不思議だとおもう。
多分、鮮度の維持が難しいのかもしれない。
ミルキーなだけでなく、イチゴの甘酸っぱさとパイの香ばしさが食欲をそそるけど
これは食べるのに気合がいるから結構、大変。
食べきった後、恐ろしくなるほどの糖分を摂取したかとおもうと、またハラハラとした
気分になった。
人間はギルティなのだ。
これでしばらくお菓子はいらないかも、しれない。
一生分の甘いものを食べた日だった。
もう少し太れ、と家族にいわれがちだった時期があるので、
ちょうどよかったのかもしれない。(了)