個人ポートフォリオ PORTFOLIO

在学生、修了生、教員による研究活動や制作物の情報を公開しています。

芸術専攻 学際デザイン研究領域

藩札制度及びMMT理論を参考にした新たな地域通貨制度について

一般公開

真殿 修治

地域活性学会の研究論文集「地域活性研究」に論文が掲載されました。(論文要旨)2000年代以降、各地で地域通貨が導入され、コミュニティの活性化や地域経済の活性化を目指したが、その効果は限定的であり、とりわけ中長期的な経済成長への寄与は不十分と考える。一方、近世の日本では藩札制度が地域経済の成長に貢献した例があり、これには現代通貨理論(Modern Monetary Theory)との共通点が見られる。この点に着目し、現代通貨理論を地域経済に適用し、地方自治体が地域通貨を発行することによって財政支出を行うプロトタイプを作成、地域通貨が中長期的な地域経済の成長に寄与する可能性について検討をした。

複数自治体が連携して発行する共同地域通貨について

一般公開

真殿 修治

地域通貨は単独の自治体等で発行されることが多いが、地域経済循環システムは単独の自治体にとどまるとは限らない。中心都市と郊外都市などそれぞれの自治体が役割分担を担っているケースも多く、そのような地域経済循環システムを考慮しない地域通貨の利便性は利用者から見て劣後するものと考えられる。利便性が劣後する場合、地域通貨の実質的価値は低下するので利用者はその使用を回避するようになる。従って、流通範囲を拡大させ地域通貨の利便性を高めることは、当該通貨の流通速度を高め、地域経済活性化への寄与を高めるものと考えられる。また、日本は人口減少社会であるため、一部の都市を除く個々の自治体では人口が減少していく可能性が高いが、その場合には利用者の減少に加えて、単独の自治体の信用度によって地域通貨の発行が困難なケースも考えられる。その際にも、複数自治体の連携は有力な選択肢となってくると考える。

外国人就労者向け日本語教育と地域通貨について

一般公開

真殿 修治

「太田市における外国人就労者向けリカレント日本語教育について」の内容を太田市の清水市長に提案をした際に、地域通貨を使った方がよいのではないかという示唆をいただいたことを受けて、地域通貨を外国人就労者の日本語学習のインセンティブにする方法を検討しました。研究方法としてはデザイン思考を採用しております。本研究では、地域通貨の発行主体は自治体とし、コストを低減するため電子地域通貨の採用を想定しています。使用できる店舗は地域の店舗に限定し、使用期限を決めることにより、地域経済の活性化を意図しています。日本語学習はインターネットで行います。日本語学習で取り扱う買い物などの生活行動局面の内容に合わせて地域通貨を付与することにより、学習内容を実際に使う環境を整備し、学習の継続インセンティブにするとともに、地域社会とのコミュニケーションのきっかけになる仕組みを考えております。このような構成により、本研究の内容が地域における将来の社会不安や社会断絶などのリスクを軽減するとともに、地域経済の活性化並びに外国人も含めた新しい地域コミュニティの創出にもつながることを意図しております。